MLC円山レディースクリニック

診療内容子宮下垂、子宮脱、尿もれ

子宮下垂、子宮脱、尿もれ

  1. 子宮脱とは

    子宮を支えている骨盤内の筋肉や靭帯が緩むことにより、子宮がもともとある位置より下がってしまう状態です。膀胱、子宮、直腸は、骨盤を左右前後に走っているハンモック状の靭帯によって支えられています。この靭帯が、切れたり伸びたりすることによって、子宮や膀胱、直腸などが膣を経由して体外に出てきてしまうのです。

    一番多い発症原因は、出産時のダメージと更年期です。子宮を支える靭帯に無理が加わってしまい、靭帯への小さなダメージや断裂が発生してしまいます。また、更年期になって女性ホルモンの分泌が低下すると、子宮周囲の組織が徐々に弱ってしまい、この結果として子宮が脱出してしまうのです。出産以外にも

    1. 出産後早いうちから力仕事をする
    2. 立ち仕事や重い物を持ち上げる仕事をしている
    3. 肥満
    4. 便秘
    5. 喘息

    などが原因としてあげられます。

    子宮脱では、子宮が下りてきて圧迫するため、排尿困難、夜間の頻尿、尿意の切迫感、尿もれなどがおこります。かなりな病状の進行時には尿閉が加速し、腎臓に負担が出ることもあります。起床直後の症状は軽く、夜になるにつれて症状が悪化していくことも特徴の一つです。このほか直腸を圧迫することで便意が1日に何度も生じるようになったり、排便が困難になったりすることもあります。

    子宮脱の治療方法は、どれだけ子宮が下がってきているのかによって変わってきます。子宮脱があったとしても膣から外に飛び出ておらず、症状も特にないのであれば治療を行うことはありません。

    根本的な治療は手術になります。手術自体はお腹を開けて行う手術ではなく、膣からアプローチする経膣式の手術や腹腔鏡を用いた手術があります。また子宮脱による尿もれに対しては、効果的な手術を同時に行うことが多いです。

  2. 尿もれとは

    女性の尿もれに関する悩みは非常に多いようですが、受診は気が進まなかったり、どこに受診をしてよいのか悩むようです。報告によれば、40代以上の女性の3人に1人は尿もれの経験があるともいわれております。

    女性の尿もれには、骨盤の筋肉のゆるみが原因の腹圧性尿失禁と、脳と膀胱の連携がうまくいかない切迫性尿失禁があります。両方合併している場合もあります。

    腹圧性尿失禁の場合、せき、くしゃみ、重いものを持ったとき、小走りなど、おなかに力が入ったときに尿がもれます。膀胱や子宮を下から支えている筋肉が緩むことが原因で、頑固な便秘や重いものを持つ仕事、介護、出産などで筋肉がダメージを受けたことが主な原因です。また、更年期になり女性ホルモンが不足することで筋肉が萎縮し緩みやすくなることもあります。骨盤底筋が緩むと、膀胱が定位置から移動し子宮も一緒に下がって、尿道が開きやすくなります。子宮または膀胱が触れるように感じることが多いようです。

    腹圧性尿失禁の治療は、軽いうちは緩んでしまった筋肉を鍛える骨盤底筋体操で改善が期待できますが、すすんだ状態だと子宮や直腸も一緒に下がるので、手術が有効となります。尿道括約筋を支えるテープを入れる手術で改善する可能性が高い状態です。

    切迫性尿失禁の主な原因は、加齢による過活動膀胱といわれています。膀胱に尿が溜まると尿意が脳に伝わり、脳からの指令で排尿しますが、過活動膀胱の場合、膀胱が自然と収縮し尿漏れが起こるといわれています。過活動膀胱の治療には、膀胱の収縮を抑えたり、膀胱の筋肉を緩める薬が有効です。

    女性の尿もれの症状はゆっくりと進行するので、少し尿もれが気になると思ったら、腹圧性なのか切迫性なのか専門医を受診して診断をうけ、早めの対策が有効なようです。